6年前ミネソタ大学で同じクラスを取って以来、すっかり音信不通になっていたブルガリア人の女の子から日本の地震を心配するメールが届きました。4年前にサンフランシスコで一緒にクラスを取って以来ほとんど会うチャンスのなかったボストン出身の女の子から私の家族や友達の安否を気遣うメッセージが届きました。カイロと出会うきっかけになった心優しいブリーダーから真夜中に私たちを心配するメールが届きました。トロントに住むクリスの妹ジェニーは報道を見て「過酷な状況にある被災地の人々が、皆で励まし合い助け合っている姿には本当に涙がでた」と涙ながらに電話してきてくれました。
祖国の大惨事の行方を遠くから見守ることしかできない中、そんな温かいメッセージにどれだけ励まされたかわかりません。ただ、被災地の方々、大切な人を失ってしまった方々、余震や計画停電で心許ない日々を送る方々のことを思うと本当に胸が張り裂ける思いです。大切な友達は相次ぐ余震にどれだけ怖い思いをしていることだろう。私の家族は福岡にいるので、幸い無事でおりますが、こんなに日本から、家族から、友達から、離れていることが心細かったことはありません。 今、私がこの地でできることを、少しでも助けになれることを、やるしかないのだと思います。"Our prayers are with you.", "You're in our prayers."というメッセージをたくさんいただきました。私も同じ思いです。傷つき弱っている人々に対し、日本に対し、どうしても「がんばって!」という言葉が選べない。だから、ただただみなさんの安全を、健康を、少しでも早い快復を、お祈りしています。 こんなとき私は、励ましや心配の気持ちをうまく言葉で伝えることができません。だから、東京時代から敬愛しているイラストレーター、小池アミイゴさんのイラストに気持ちを代弁してもらおう。アミイゴさんのメッセージはいつの時もまっすぐで、力強くて、温かい。 ![]() 「落ち着こう。困難な立場にある人にイマジネーションを傾けよう。 そして助け合おう。」 © Amigos Koike
いつもブログに遊びに来てくださる方が「ツバメノートのブログにちなんで」と、素敵なツバメノートのセットとCDを送ってくださいました。お会いしたこともないのに、いつも私の駄文を読んでいただいている上、こんな素敵なプレゼントまで頂いて、本当にありがたいことです。
大きさの違うカワイイツバメノートのセット、もったいなくて使えそうにありません。東京都台東区にあるツバメノートの品の良い大学ノートは日本の文房具の質の良さを代表するような良いプロダクトで、いつも愛用しています。 頂いたハンバート・ハンバートの『11のみじかい話』というアルバムは、メロディとハーモニーの美しさに1度聞いただけで大好きになっちゃいました(このアーティストのことは初めて知りました)。 チャイハネさん、心温まる贈り物、本当にありがとうございます。またツバメノートに遊びに来てくださいね。 ![]() ![]()
毎晩夕食の後、ダイニングテーブルにいそいそと習字セットを並べ、嬉しくて仕方ない様子で練習に勤しむ人。今月の課題は『知者不言』だそうです。
知者不言 [意味] 知(し)る者(もの)は言(い)わず」が書き下し文。 物事の道理をわきまえる真の知識者は、それを軽々しく口にはしないものだということ。 ![]()
昔からテレビをほとんど見ないので、俳優女優にあまり詳しくないのですが、この人だけは、この男だけは、真っ向からかっこ良い。俳優としての存在感、演技の幅の広さ、ものづくりへのこだわり、静かな声のトーン、完全に自分のものにしている独特の着こなし、恐れを知らないヘアスタイル、何をとってもトテツモナク素敵なのであります。好きだー、ジョー。
随分前ですが、2003年のSONY MDウォークマンのCM: Blue Story、そっと手をつなぎ二人で歩き出す場面は、音楽効果も相まって、何度見ても胸がキュっとします。切ないなあ。これって、恋かしら(笑) というわけで、またしつこく『時効警察』見ております。背後でクリオが「ああ、またカオリの好きなオニギリジョーを見てるのね」と哀しげにつぶやきます。そのくせ自分は「椎名林檎はいつ見ても美しいわ」などとのたまいます。 今日から始まったサンフランシスコ国際映画祭で見る予定にしている『空気人形』にも出演しているので、楽しみです。SFIFFについてはまた後ほど。 ![]() ![]()
パリの街に住むマキちゃんは、昔東京でロゴデザインを担当させていただいた方の妹さんのお友達、という不思議な縁で知り合った女の子で、お友達になって以来ずっと文通を(スネイルメールの方で)続けています。去年のクリのフランス出張の際、パリの街で初めて会うことができて、まるでブラインドデートみたいにウキウキしちゃいました。
その時からずっと温めていた「欧米間フォト交換日記」計画がようやく始動です。Poladroidで加工した写真で統一したこのフォトログ、「壁に毎日写真を貼っていくように」という意味を込めて"on the wall"というタイトルにしました。パリからの写真日記が届くのが毎日楽しみです。 + + on the wall + + ![]()
2008年以来、毎年同じフォーマットで年賀状を作っています。海外にいると、会えない家族、親戚、友人があまりにも多く、せめてお正月には「ご無沙汰しています。カオリもクリスもこのように元気にしております」を伝えたくてこの形式に落ち着いた次第です。
先日クリオの幼なじみデニスがくれたメールに1枚の写真が添付されていました。今までの私たちの年賀状を全部きれいに保存していて、冷蔵庫に貼ってくれているんだそうです。そしてメールの中で彼は「僕はこの年賀状を『ドゥローム家の進化』として毎年楽しみにしているんだよ」などと優しげなことを言うのです。デニスはクリスくんと同じ年の非常に落ち着いた大人な男で、初めて会った時、付き合いたての私たちを見てはバリトンの声で「ふふふ。仲睦まじきことは良きことかな」などと仙人の様な達観ぶりで言うのでした。初対面で大好きになっちゃいました。 こうして3枚並べると、今年の印刷不具合が目立ちます。いつも家にあるCanon Pro 9000で印刷していたのですが、今回初めて印刷会社に外注したら目も当てられない低クオリティーで写真も暗く、本当にがっかりしたのでありました。おまけに、当初決めていた「クリオは白い干支Tシャツを着る」という取り決めも今年はすっかり忘れており(笑)さらには2008年のネズミ年は「ドラムを叩くリス」で代用という適当さ、一貫性も何もあったもんじゃありません。でも来年はウサギなので(エリコ、君の年だね!)張り切って可愛いウサギTを作ろうと思います(いつもCafe Pressというところで作っています)。 あの年はマルコがいたなあ、と2009年の年賀状を見ては、あの小さな生き物を思い出しています。 ![]() (Photo: Dennis S.)
年の暮れ、東京に住むモリソン先生 & poppoちゃん一家からクリスマスプレゼントが届きました。可愛いものが箱一杯に詰まって宝箱のようです。そのひとつひとつを手に取りながら、私たちのことを思って選んでくれたんだなあと、老人カオリは思わず目頭を熱くしまいました。その贈り物たちの中に入っていたのが手作りの「ドゥローム家マトリョーシカ」!もう可愛すぎて可笑しすぎて嬉しすぎて泣き鼻水を垂らしながら大爆笑ですよ。モリソン先生 & poppoちゃん、そしてツクツクとボン、心のこもった贈り物本当にありがとう!
ドゥローム家一生の宝物にします。 旧年中はいろいろな方から誕生日、クリスマスとたくさんの贈り物を頂きました。 みなさんの温かい心遣いに心から感謝です。ありがとうございます。 頂いたみなさんの嬉しい気持ちに少しずつお返ししていけたらなあと思っています。 :-) ![]() ドゥローム家マトリョーシカ: クリオとわたしとマルコ。 ![]() モリソン家の長女ツクツクが「カナダの旗にしよう!」と言ってくれたそうです。 なんて可愛いことを(泣) ![]() カオリ人形の背中には登り竜の彫りが(笑)モリソン家の長男ボンが描いてくれました。 お腹がよじれるほど笑い転げました。 ![]() このディテール!マルコ人形の頭には小さな小鳥がいっぱいです。 可愛いなあ、マルコ人形。 ![]() 家購入の重圧に耐えるクリオ。フフフ。
8月のある日、もう2年近く音信不通だったクラスメイトのチャーリーから突然メールが来て「カオリ、げんきー?そいえば、10月にハルキムラカミがUCバークレーで講演するらしいよ」と、私のささやかな人生に於いて上位を争う重大ニュースをけろっと教えてくれました。原のアニマート(本屋さん)で最初に村上春樹の本を手に取ったのが12歳の時、それ以来もうずっとずっと人生のルーティーンの一部として読み続けている村上氏がここベイエリアにやってくるとチャーリーが言っている。うごー!何が何でもいくでがんす!と大興奮の2ヶ月を経て、この週末とうとう会いに行って参りました、ミスタームラカモ。一緒に行ったユキちゃんとはもう数週間前から大盛り上がりで、道中も何が可笑しいのか二人で笑い転げながら会場に向かいます。彼女の意気込みも半端じゃありません(笑)
会場についてチケットに書かれた席に行ってみると、前から3番目、でも1列目の幅が狭いので実質前から2番目、という恐るべき良い席でありました。手の届きそうなステージの中央には小さな机と、モデレーターと村上氏の座る2脚の椅子が置いてあります。 あまりに好きすぎて、でも春樹氏とアメリカで会うというのがあまりに非現実的すぎて、当日本人がステージに出てきた時に自分がどういうリアクションするのか全然わからなかったのですが、8時になって司会者が「では、村上春樹さんをお迎えしましょう!」と紹介し、ひょっこり舞台に出てきた春樹を見たら、なんだかもう可笑しくて可笑しくてたまらないのでした。目の前にいる村上氏の姿に鳥肌が立つ程感動しているのに、笑いが止まりません。 初めに村上氏は簡単に自己紹介、なぜ小説を書くようになったか、日本社会に於ける自分の位置、などを話し、そのあと『カンガルー日和』に収められている短編『とんがり焼の盛衰』(懐かしい!)を朗読しました。講演は英語で行われましたが、朗読の際は春樹氏が日本語で、その後モデレーターで現在東京大学大学院(英米文学)の講師であるローランド・ケルツ氏が英語で朗読しました。なんでしょうか、短編の話の面白さもさることながら、村上氏の「とんがり焼!とんがり焼!」と叫ぶそのエロめの声、抑揚、間の取り方、どれを取っても可笑しくてたまらず、またも笑いをこらえつつ拝聴します(でもものすごく感動しているのです)。その後ケルツ氏との対談を経て、観客からの質問コーナーと続きました。わたしも張り切って小説執筆のプロセスについての質問を書いた紙を渡しましたが、対談の中で既にその話がでてしまっていたので取り上げられませんでした。 特に印象に残ったのは、[1] なんとつい先週、長編小説を書き終えたということ(日本では来年あたり出版になりそうです!)[2] いろんなところで言及されていますが、彼が日本において強い疎外感を感じていたということ(『とんがり焼の盛衰』は暗に日本文壇の閉塞性を批判している、とも言われているので、そういう話をした後この短編を朗読したのはなかなか興味深かったです)[3] そしてやはり小説を書く時の話。村上氏が長い物語を書く時、彼はまだ仄暗いしんとした早朝に起きて、自分の中の暗闇の部分に降りて行くのだと言います。そしてそこは深ければ深いほど暗さが増していくのだと。でも書き終えたらドアを開けて「こちら側」に戻って来なければいけない。そして戻ってくるにはかなりの体力がいる、だから毎日走っているのだ、と彼はいいます。彼はその闇の中で何を見ているのでしょう。そんなところが村上春樹の「得体の知れぬ怖さ」だと常々思っています。 私の拙い語彙では書き尽くせませんが、本当に楽しかったです。今年一番の大事件と言えましょう。そして、翌日のサンフランシスコでのブックサイン会へと興奮は続いてゆきます。 つづく ![]() ![]()
講演会の翌日、日曜日の3時からサンフランシスコ市内の本屋さんで村上春樹氏のサイン会が行われました。張り切って3時間前に到着というのぼせぶりです。着いたときにはまだ列はできていなかったけど、本屋の店内、併設されたカフェには村上春樹の新刊を購入した明らかにサイン待ちの人々が、やや緊張気味の面持ちでうろうろしています。村上氏の新刊"What I Talk About When I Talk About Running: a memoir"(『走ることについて語るときに僕の語ること』)1冊購入につき他3冊までサインOKとのことで、日本語版は持っていますがやむを得ず購入。サインをしてもらうなら絶対これだと決めていた『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』初期のピンクの装丁の本と、今日はSFまで来られなかった昨夜の戦友ユキちゃんの本も含めて、計3冊にサインをもらう計画です。
1時になった頃から徐々に列ができはじめたので飲みかけのカフェラテを持ち列に加わります。数えたら前から8番目でした。悪くないですわ。それから3時までぼんやり待っている間、前に並んでいる南カリフォルニアから来た中国人家族(息子はバークレーで勉強中)、バークレー卒の建築家の女の子と「春樹と何話そうか」とか「春樹は名前も書いてくれるんだろうか」とか「春樹は昨夜の講演会の後すぐ寝たんだろうか」などと、どうでもいい、でも楽しい話に花を咲かせていたらあっという間に時間が過ぎてゆきました。 3時になって列が動き始めました。いよいよです。3冊の本を握りしめて店内に入ります。いろいろ聞きたい事満載で、質問が頭をぐるぐると駆け巡ります。ふと横を見たら陽子夫人がすたすたと歩いていました。そういえば昨日の講演でもふと横を見たら陽子夫人がすたすたと歩いていました。一体どれくらいの人が並んでいるのかわからないけど、相当の数なので、かなりピリピリした空気が流れています。インテリな感じの本屋の女性があらかじめ開いたページを「次っ!次っ!」という感じで春樹氏の前に広げています。 そうこうしているうちにいよいよ私の番となりました。前の7人は英語で挨拶していて、わたしが初めての日本人のようだったので大きな声で「村上さん、こんにちは!」と言ったら「お、こんにちは」とあの低くエロめな声でおっしゃいます。その瞬間、店内に夜の帳が落ち、カクテルをシェイクする音とジャズピアノの音が聞こえてくるんじゃないかと思っちゃいました(笑)あらかじめ本に付けられた付箋紙の名前を見て(本人がいちいち名前を聞く時間がないので、列に並んでいる間に店員の人が付箋紙に名前を書いて本に貼ってくれた)「カオリさんですね」と言い、太めのシャーピーマーカーでしゅるしゅるしゅるっとサインをしてくれました。目の前にいる12歳の時からの(勝手に)人生の友、心の友に何か言わねば。「あー、昨日の講演会素晴らしかったです」と声をかけると、春樹氏はちょっと顔を上げて、あの低くエロめな声で「あ、いたんですか」と言いました。「はい、いたんです。」 こうして無事に3冊サインしてもらい、春樹氏の二つの目を凝視して最高の笑顔で「ありがとうございます!」と言い、終了。その間1分もなかったかと思われます。たくさんあった質問は日の目を見る事もなく、頭の中をぐるぐる回ったままでしたが、横に立っていた気のいい店員の兄さんが怖いくらいにニコニコしている私に「よかったねえ」と言ってくれて、急に嬉しくなりました。いやあ、本当に嬉しかった。 四半世紀近く読んできた敬愛する作家と、人生のある瞬間、サンフランシスコの街角で接点があったということが、嬉しくも不思議な感じがいたします。そんなこんなでお祭りのような週末はあっという間に過ぎ去り、ふと現実に戻った時、課題は全く終わってないという恐ろしい事実がどっぱーんと津波のように押し寄せてくるのでした。今、やや遠い目をしています。 * 講演もサイン会も写真撮影は厳禁だったので、イラストで店内の様子を。 村上春樹の顔は水丸氏の顔しかあり得ないので丸顔を真似してみます。 ![]() ![]() ![]() ![]()
こんにちは、お元気ですか?そちらの天気はどうですか。イメージ的に雨なんて降らない感じだけどどうなんだろう。雨が降らないといえば、カオリの住んでいるベイエリアも雨が全然降りません。今週末少し雨が降るらしいと聞いて、あまりに久々なので「ウキッ」と色めき立っているくらいです。ケッペンの気候区分でいうとこの辺りは地中海性気候に属しているのです。
カオリもクリスくんもとても元気です。犬もマルコも(あ、マルコというのは私たちの飼っているちょっと頭の弱いロボロフスキハムスターです)喰わないような小さなけんかはたまにしますが、概ね大の仲良しです。クリスくんはわたしの良き親友であり理解者であり恋人であり夫であり、わたしの人生で起こったいくつかの素晴らしいことの1つだと胸を張って言えてしまいます。クリはよく「おとうさんともっと話したかったなあ」と言っていますよ。一度だけみんなで温泉に行きましたね。おとうさんは「クリスちーゃん」などとヘンな呼び方をして、カオリは少しだけ恥ずかしい思いをしました。今だから言いますけどね。ところで、そっちでは年はとるものですか?おじいちゃんには会いましたか?クリスくんの亡くなったおばあちゃんはドイツ系カナダ人なのだけど、もし会ったら頑張って英語で話し掛けてみてください。 おとうさんがいなくなって今日で丸4年です。随分長い間会ってないのでとても寂しいです。でも、以前はおとうさんの話をしようとするだけで泣いたり、最後に病室で聞いていたゴダイゴの"Thank you, Baby"(なぜゴダイゴだったのだろう?)がその後数年間聴けなかったりといろいろ大変でしたが、そんなのももう平気になりました。でもおとうさんのことを忘れたわけではないので、しょんぼりしないでね。時間の治癒力に一緒に感謝しましょう。 今日は命日ということで、おかあさんとエリとアミとタケとみんなで集まってゴハン食べるんだそうです。いいなあ。カオリも行きたいです。参加出来ない代わりに、こうして手紙を書きました。マルコの写真を同封します。魚釣りの合間にでも読んでください。では、今日はこの辺で。 2008年10月4日 カオリ ![]() < 前のページ次のページ >
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